■「KES・環境マネジメントシステム・スタンダード」
「KES・環境マネジメントシステム・スタンダード」は、京都発、京のアジェンダ21フォーラムから生まれた環境経営基準です。審査を受けてKESを取得することにより、環境に配慮した経営を行っている企業であると示すことができます。
●KESが生まれた背景
環境に配慮することが社会常識となってくる中で、企業もCSR(企業の社会的責任)の一つとして、環境への十分な配慮を行っていることを第三者に評価してもらう必要性が出てきました。
そうした評価基準として、国際規格であるISO14001が最も有名です。1996年にISO(国際標準化機構)において制定され、その後、国内でも大企業や行政機関を中心に取得が広まってきています。
しかし、ISO14001は経営規模が大きな組織を対象とした規格で、従業員300以下の企業の場合でも、取得費用は300~500万円近くかかり、その上企業側にかなりの労力を必要とします。その金銭的・人的コストは、中小企業に負担できるものではありません。
1999年に当フォーラムの企業活動ワーキンググループが活動を開始した当初にも、この問題が話題にあがりました。京都においては、中小企業の比率が高く、事業所数でみて全体の9割以上を中小・零細企業が占めています。そこで、京都でISO14001の認証を行うコンサルタントの方々がボランティアで集まり、京都工業会を中心に民間企業の経営トップの方々が試行協力を申し出て、新しい経営基準を作ることになりました。取得コストを削減し、ISO14001のエッセンスを取りだして簡素化した基準を作って、さらに環境経営を広めていこうと考えたのです。
- ●外部リンク:ISO(国際標準化機構)
●KESの設立から普及まで
こうして生まれた中小企業向けの環境マネジメントシステムがKES(KES・環境マネジメントシステム・スタンダード)です。
KESでは、より広い普及のために「KESステップ1」、「KESステップ2」の2つの段階を作りました。KESステップ1では「ひとまず環境負荷を意識した経営をスタートさせること」、KESステップ2では「ISO14001認証の要求項目を一部簡素化し手順を省略したものを満たすようにすること」、と狙いを絞って取得コストを削減し、KESステップ1では10万円程度、KESステップ2では30万円程度と、費用をISO14001の10分の1近くに抑えています。それでいて、KESステップ1では、ISO14001の要件の4割、KESステップ2では9割近くを押さえる内容となっており、将来的には段階を踏んでISO14001の取得まで手を伸ばすことが可能です。
KESでは、ISO14001審査員資格を持つ方々が、より広く環境経営を広めようとする志を持って、KES審査登録作業を最小限のコストで行っています。
また、KESは、2001年に当フォーラム内にKES認証事業部を組織して、その運用を開始した直後から、多方面から優れた内容を認められ、行政機関や大手企業の「グリーン購入」の基準として採用されるようになりました。「グリーン購入」とは、環境に優しい企業が生産した物やサービスを優先的に調達することを指し、全国および京都のグリーン購入ネットワーク(GPN)がその普及を推進しています。
- ●外部リンク:環境省グリーン購入のページ
- ●外部リンク:グリーン購入ネットワーク(GPN)
- ●外部リンク:京都グリーン購入ネットワーク(京都GPN)
●全国に広がるKES
このようにKESは、コストパフォーマンスの良さが評価され、そしてまたグリーン購入の基準として認められていったことにより、京都市域だけでなく国内全域へ大きく普及していくことになりました。KES取得数は、2002年には100件、2005年には1000件を超え、その半数近くが京都市外の事業所となっています。
全国各地で「KES・環境マネジメントシステム・スタンダード」は、「地域版KES」として定着してきました。大津市、青森県、岩手県、神戸市、三重県などで、フォーラムのKES認証事業部の協力のもと、KESを元にした環境マネジメントシステムが作成・運用されています。また他方では、「エコステージ」、「エコアクション21」など類似の中小向け環境経営基準が、KESを参考に産まれました。
このように中小企業へ環境経営を大きく広める成果をあげた当フォーラムのKES認証事業部は、2007年4月にはフォーラムから独立し、「特定非営利活動法人 KES環境機構」としてますます活発に事業を継続しています。
- ●外部リンク:特定非営利活動法人 KES環境機構 | 各地のKES協働機関
- ●外部リンク:エコステージ
- ●外部リンク:エコアクション21
●KESにご参加ください
KESは単に環境に優しい経営を証明するのみならず、様々なメリットを取得企業の方々に評価していただいています。電力・水・紙等の使用量の削減の取組によってコストダウンが行えること、また、共通のテーマに取り組むことで組織が一体化するようになり組織強化が図れること、さらには、KESに取り組む企業間の交流に参加することによって、環境取組の情報共有や地域との連帯を深めることができることが、特に評価されている点です。
当フォーラムでは、KESの母体となった企業活動ワーキンググループを運営するほか、KES取組事例集パンフレットの制作などを行っています。ぜひ御社もフォーラムの活動やKESを通して、環境パートナーシップにご参加ください。
- ●企業活動ワーキンググループ
- ●外部リンク:特定非営利活動法人 KES環境機構