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■記事

2008/08/30

★連載第5回★ 京の交通交流ひろば出張所
考えてみましょう「歩くまち・京都」はどんなまち?

事務局コーディネーターの長谷川吉典です。連載「京の交通交流ひろば出張所」第5回をお届けします。「京の交通交流ひろば」は、“環境にやさしい交通体系の創出”を目指して活動している交通WGのウェブサイト※で、環境を主な視点にしながら、京都の交通に関する様々な情報を紹介しています。本連載では、その中から、広くフォーラム会員の皆様に興味深く見ていただけるようなトピックを毎月紹介していきたいと思います。

●「歩くまち・京都」を目指す京都市

京都市の交通政策が、いわゆるクルマ社会から、徒歩と公共交通機関を中心とした交通体系の実現へと大きく方向転換したのは、2003年の『「歩くまち・京都」交通まちづくりプラン』(京都市TDM施策総合計画)の策定からです。

2006年には、歴史的都心地区における「歩いて楽しいまちなか戦略」がスタートし、フォーラムも2007年秋の社会実験の臨時駐輪場運営を担当しました。

さらに、京都市では、来年(2009年)の夏を目途に新たな交通政策マスタープラン「『歩くまち・京都』総合交通戦略」を策定するため、今年、「『歩くまち・京都』総合交通戦略策定審議会」を設置しました。

●「歩くまち」ってどんなまち?

さて、ここでいう「歩くまち」とは、どのようなまちなのでしょう。 京都市は「『歩くまち・京都』総合交通戦略」の策定発表において、「人が主役の魅力あるまちづくり」を強力に推進する、としていますが、その具体的な姿は、8月に発足した検討部会で今後、健康/環境/公共交通/子育て・教育/コミュニティ/景観/観光/経済など幅広い観点から検討と提言の取りまとめが進められるようです。

ここでは、交通(移動)の目的別に、ちょっと整理してみましょう。以下を参考に、皆様も「歩くまち」の具体的なイメージを頭の中に描いてみてください。

●通勤・通学は?

通勤交通は、自宅と勤務先の間の交通です。通勤の交通手段は、自宅と勤務先の位置関係や、自動車通勤が許されるかどうかなどの条件を考慮して選ばれています。

「歩くまち」の実現としては、自家用自動車は原則として使わないようにし、徒歩や公共交通機関、あるいは自転車で移動することが望ましいといえます。でも、徒歩で通勤する人を大幅に増やそうとしても、職場が常に自宅のすぐ近くにあるように勤務先を変更する、といったことは、施策として現実的とはいえません。与件としての職場と自宅の位置関係があった上で、交通手段を考えるよりないでしょう。

高校や大学、専門学校等の通学交通も、通勤と同じよ うな位置関係の制約があります。通う学校が、必ずしも自宅から近いことだけでは決まらない、ということです。

●業務交通は?

事業所などの業務で移動する場合、自動車で(量の多い)荷物を運ぶ必要があれば、自動車を使うよりなさそうです。そうでない業務での移動では、徒歩や公共交通機関で移動するのが望ましいといえるでしょう。

●日常の買い物の交通は?

皆様もご家庭の暮らしの中で外出する機会を思い浮かべてください。生鮮食料品などの買い物で外出する回数は、通勤・通学に次いで多いくらいではないでしょうか。

筆者は、ここが「歩くまち・京都」実現のポイントになると考えています。市街地にお住まいの皆様が、遠くへ出かけなくても自宅から歩いていける範囲で日常の買い物の用が足りる、そういうまちは、実現できるのではないでしょうか。市内には、京都商店連盟に加盟している商店街だけで87の商店街があります。交通政策とは関係無さそうに見えるかも知れませんが、地域の商店街を周辺地域の人たちから愛されるかたちで活性化させることが「歩くまち・京都」の実現にあたって、最も大きな効果を及ぼす都市政策(まちづくり)になるでしょう。


古川町商店街(東山区)


新大宮商店街(北区)

●自転車はどれくらい使える?

自転車は、高い移動性と排気ガスを出さない環境適合性を兼ね備えた優れた特徴を持つ交通手段ですが、筆者は、自転車に都市内の移動手段の何割かを占めるほどの大きな役割を持たせることは難しいと感じています。

普段、自転車に乗っている人たちは、雨の日には、外出を取りやめない限り別の交通手段に移ってきます。雨の日には、バスや電車が普段よりも多少混む程度で済むぐらいまでが、都市内交通として自転車を活用できる限度になるのではないでしょうか。

●いっしょに考えてみましょう「歩くまち・京都」を

京都市の「歩くまち・京都」が、あるいは『京のアジェンダ21』が重点取組にあげる「環境にやさしい交通体系の創出」は具体的にはどのような姿になるのでしょうか。交通WGの場などを通じて、皆様といっしょに考えて行きたいと思います。