■記事
2008/09/30
★連載第6回★ 京の交通交流ひろば出張所
京都のタクシーの現在(いま)
事務局コーディネーターの長谷川吉典です。連載「京の交通交流ひろば出張所」第6回をお届けします。「京の交通交流ひろば」は、“環境にやさしい交通体系の創出”を目指して活動している交通WGのウェブサイト※で、環境を主な視点にしながら、京都の交通に関する様々な情報を紹介しています。本連載では、その中から、広くフォーラム会員の皆様に興味深く見ていただけるようなトピックを毎月紹介していきたいと思います。
●変わりつつある京都市内のタクシー
京都市内には個人・法人あわせて約9,000台のタクシーが走っています。京都のタクシーというと、社会の景気減速後の法人各社のシェア維持のための増車競争の悪い影響があらわれて、個々のタクシーの獲得する乗客が減少し、道路のタクシーベイ(所定の待機場所)からはみ出して長時間客待ちしたり、本来禁止されている交差点で客を乗降させるなどして、交通の流れを妨げる迷惑な姿が目に付くようになりました。
タクシーは、ガソリンと比較して走行距離あたりのCO2の排出が若干少ないLPガスを燃料とし、また、マイカー保有と比べると利用形態の違いから自動車利用を必要最小限の合理的な量にとどめる効果があり、地球温暖化対策の面で本来望ましい交通手段といえるものです。しかし近年、京都市内のタクシーの交通マナーが良くないということで、残念ながらタクシーは社会の嫌われ者になりかけていました。それは良くないということで、法人タクシーを中心とした京都のタクシー業界は、改善の動きを起こしています。今回は、その具体的な動きをいくつかご紹介します。

歩行者の横断を妨げるタクシー(京都駅前)
●ひとつになった法人タクシーの団体
京都市内の法人タクシーの業界団体は、1990年代以降つい最近まで4つの団体が存在し、これがタクシー業界としての統一行動を取りにくくしていました。
しかし、最近の燃料費の高騰が各社の経営を圧迫し、また、各団体の事業が重複する効率の悪さやタクシーの供給過剰や違法駐車が共通の課題になる中、運転手のマナー向上やタクシーの需要喚起などに業界を挙げて取り組み、サービス向上と経営改善を図りたいという機運が高まり、2008年8月29日、京都乗用自動車協会(京乗協)に組織が一本化されました。
●タクシーのマナー向上の取組
遠くない将来のトランジットモール(歩行者と公共交通優先の道路)化が計画されている四条通では、タクシーの行儀の悪さが指摘されてきました。このままでは、トランジットモール化とともにタクシー排除が決定されかねないという状況のもと、タクシーが自分たちでルールとマナーを守ることができると示すために、毎週金曜日の午後、各社の管理職が合同でタクシー乗務員への現場指導を行っています。
四条通におけるタクシーのマナー向上の取組
●介護タクシー
「歩くまち・京都」のスローガンのもと、徒歩とバス・電車での移動が推奨される京都市の都市部ですが、外出時にドア・ツー・ドアの移動手段を必要とする方もいます。複数のタクシー会社が、その需要に応えるべく、乗務員が介護福祉の資格を持つタクシーサービスを提供しています。
少子長寿化が大幅に進展するであろう将来の京都市で、地球温暖化対策の観点からマイカーを保有しないまちを目指すとき、ドア・ツー・ドアの移動手段として、この種の高度な輸送サービスをタクシーが提供できることは、たいへん重要になると筆者は考えます。

介護資格を持つ乗務員が運転するタクシーの一例(明星自動車の「スターケアタクシー」