●当フォーラムの紹介

当フォーラムは京都市を拠点とし、さまざまな主体のパートナーシップで持続可能な社会の実現を目指す組織です。

●ワーキンググループ

当フォーラムでは、ワーキンググループ(WG)という名の分科会を複数設け、さまざまな取組を行っています。

●情報倉庫

当フォーラムの活動紹介をはじめ、京都市を中心とした、さまざまな環境情報を発信する広報活動を行っています。

■記事

2007/11/30


【好評連載】小山直美のドイツ報告
第6回 ドイツの人々の暮らし 食文化について


今年4月下旬から5月下旬までの1か月間、私がボランティアで関わっている日本熊森協会から、国際ロータリー第2680地区(兵庫県)のGSE(Group Study Exchange)プログラムで、ドイツ南西部シュトゥットガルト近郊に、環境研修に行かせていただきました。

今回からは、人々の暮らしについてご紹介させていただきます。


GSEプログラムでは、ホームステイ先がロータリークラブの会員の方々だったこともあり、大きなお屋敷に滞在させていただきました。私と同時に派遣されたメンバーの中には、ホストファミリーがお城の城主で、お城にホームステイした人もいました。私が滞在させていただいた家庭には、どこも緑いっぱいの美しい庭があり、ときどきリスが遊びにやって来ました。また多くの家庭にゲスト専用のシャワー、トイレがありました。ドイツの人々はきれい好きなようで、どこの家庭でもきちんと掃除や整理整頓がされており、居心地が良かったです。一般的な家庭でも、掃除のために家政婦さんを雇うことが少なくないそうです。

今回は、ドイツの人々の食文化について、一部ご紹介させていただきます。

■ドイツ南西部の料理

ドイツに行く前に、私は何人かの人から「ドイツでは、あまり食べものは期待しないほうがいいよ」と言われました。ドイツと言えば、ビールとジャガイモ、ソーセージ、黒パンのイメージがあります。しかし実際には、ほかにも美味しいお料理がたくさんありました。

例えば、この地方の伝統的な家庭料理にシュペッツレがあります。これは小麦粉と卵、塩、お湯で練って生地を作る料理で、パスタに似ています。私は「ケーゼ・シュペッツレ」という、シュペッツレにチーズをかけて焼いたものをいただきました。また、私たちが行った4月、5月頃は、大きな白いアスパラガス(ドイツ語ではシュパーゲル)の収穫の時期で、マーケットに行くと、立派なアスパラガスがたくさん売られていました。茹でたアスパラガスに溶かしバターなどをかけていただく、アスパラガスがメインの料理は、大変美味しかったです。ホームステイ先では、パスタやリゾットなどのイタリア料理もよくご馳走になりました。

■ベジタリアンメニューも充実

ドイツでは、国民の1割がベジタリアン(菜食主義者)だと言われています。私もドイツ滞在中のたった4週間の間に、数人のベジタリアンの人と出会いました。レストランでも、ほとんどの場合ベジタリアンメニューがあります。

日本では、肉食はあまり環境問題と関連付けて考えられていませんが、世界的に見ると、家畜の増大に伴い、野生動物の減少、生物種の絶滅がすすんでいます。東南アジア、アフリカ、中南米などでは、家畜を放牧するため、また家畜に食べさせる飼料を作るために、森林が伐採され、野生動物のすみかが奪われています。肉などの畜産物を1kg生産するためには、その何倍もの穀物と大量の水が必要です。例えば牛肉1kgを生産するのには11kg、豚肉1kgを生産するのには7kgの穀物が必要とされます。先進国の人たちが肉食をやめれば、世界中の人たちが食べる分の食糧は十分あるとも言われています。

一説によると、行き過ぎた人工林化の問題がありながらも日本で現代まで多くの森林を残すことができたのは、大海人皇子が唐の律令制を取り入れる際に、唐の食文化だった肉食を禁じ、その後長期に渡って、肉を食べる習慣が日本に根付かなかったからだと言われています。それに対し肉食文化であった欧米では、家畜を放牧したり家畜に食べさせる飼料をつくるための森林伐採が盛んに行われたことが、森林破壊の一因となりました。

米、野菜が中心の伝統的な日本食は、持続可能な食文化だと言われています。現在は日本でも洋食が一般的になっていますが、日本のふつうのレストランでも、ドイツのように、美味しいベジタリアン料理が食べられるようになると良いなあと思います。


ホームステイ先の家の庭


ケーゼ・シュペッツレ

(小山直美)