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■記事

2008/02/29


【好評連載】小山直美のドイツ報告
最終回 人々の暮らし 動物を大事にする国


昨年4月下旬から5月下旬までの1か月間、私がボランティアで関わっている日本熊森協会から、国際ロータリー第2680地区(兵庫県)の GSE(Group Study Exchange)プログラムで、ドイツ南西部シュトゥットガルト近郊に、環境研修に行かせていただきました。

今回は、ドイツでの動物事情について、ご紹介させていただきます。


近年、ドイツやイギリスををはじめとするEU諸国では、動物の権利についても人権や福祉と同レベルの重要な問題として考えられるようになりつつあります。

環境政党・ドイツ緑の党の政策綱領にも、動物の権利について規定されています。実際に、ドイツは、日本よりもはるかに動物の命を大切にする国でした。動物好きな人が多く、家では犬を鎖につながず放し飼いにし、大きな犬でもリードなしで散歩させている人が少なくありませんでした。犬が普通に電車に乗れ、犬と一緒に入れるレストランもありました。

中でも私が一番感銘を受けたのは、ティアハイムの存在でした。ドイツでは、日本とちがって、捨てられた動物たちを殺処分する行政部署がありません。飼えなくなったり、捨てられているのを見つけられた動物は、各都市にある民間の保護シェルター、ティアハイムで保護されます。ここでは里親を探しながら飼育され、3週間以内で90%の犬猫に新しい飼い主が見つかるそうです。

シュトゥットガルトと、ハウルブロンにあるティアハイムを訪問しました。これらのティアハイムは、建物は古いものの、明るく開放的です。広い敷地の中に、犬、猫のほか、うさぎ、鶏など様々な動物が保護されていました。1頭あたりのスペースが比較的広く、治療室や、病気になったり年老いた動物たちがストレスを感じずに生活できる専用の家があるほか、外には、夜間、職員がいない間に警察が保護した犬を入れておく小屋がありました。ティアハイムは地域に根ざした施設で、殆どの人がその名前を知っており、ボランティアとして関わる人もたくさんいます。

ドイツでは、ペットショップで犬猫の販売が禁止されています。犬猫を飼いたい人は、知り合いに譲ってもらうか、近くにあるティアハイムを訪問して引き取るか、ブリーダーに頼みます。また、犬を飼う人は、年間9000円~18000円程度の犬税を払わなければなりません。これらの施策によって、ドイツでは、犬猫を殺処分ぜす保護できるのでしょう。日本で年間40万頭近くの犬猫が殺処分されていることを考えると、ドイツの対応は素晴らしいと思いました。

インド独立の父マハトマ・ガンジーは、「国家の偉大さや道徳的水準は、その国で動物がどのように扱われているかによって判断できる」という言葉を遺しています。今でこそ日本は、動物の問題で欧米に遅れていますが、かつての日本人は、動物や自然に対して謙虚で、江戸時代に日本を訪れた欧米人が驚くほどでした。日本で命を命とも思わない事件が多発している昨今、人間社会のためにも、かつて日本の人々が持っていた動物への優しく謙虚な気持を取り戻し、社会で一番弱い立場に立たされている動物の問題にもっと目を向けなければならないと改めて思いました。


シュトゥットガルトのティアハイムの犬舎


*今回で、ドイツ報告は終了させていただきます。ドイツでは、毎週ホストファミリーが変わるごとに別れが辛くて涙が出るほど、温かく迎えてくださいました。これ以上の国際交流はないのではないかと思うほどでした。かけがえのない経験をさせてくださったロータリークラブの皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。

また最後になりましたが、私がいない間、活動を進めてくださったワーキンググループメンバーの皆さんや、快くドイツに行かせてくれたフォーラム事務局のスタッフの皆さんに、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

(小山直美)