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■記事

2008/04/01

京都市地球温暖化対策政策提言プロジェクトチーム 幹事会で中間報告なされる
CO2排出削減量を社会経済に組み入れる政策案を提案

3月28日の第6回幹事会・第5回常任幹事会合同会議において、京都市地球温暖化対策政策提言プロジェクトチーム(リーダー 田浦健朗さん)から、検討中の政策提言案について中間報告がなされ、意見交換が行われました。

中間報告の内容は、京都市における部門別の温室効果ガス排出の動向の分析や現状の地球温暖化対策の施策のレビューをはじめ専門的な内容も多く含まれていますが、以下では中間報告の中で「今後京都市において、2020年までに温室効果ガス1990年比30%削減を実現するための温暖化対策として重点的に実施すべき」取組として挙げている京都市で導入していくべき政策案から代表的なものをご紹介します。各項目にはプロジェクトチーム会議や幹事会での意見交換で出された、検討を要する事項も示していますが、指摘されている内容も踏まえながら、最終報告に向けて、プロジェクトチームで検討が進められています。

●具体的対策からいくつかご紹介
(1)いわゆる「地域炭素税」などの化石燃料消費抑制策の導入

電気や都市ガスの使用にともなう化石燃料消費を抑制する対策として、電気および都市ガスの料金に使用量に応じ、金額を上乗せするものです。この対策は、ガソリンや軽油なども対象に加えた「炭素税」として提案されることが一般的ですが、国レベルでの炭素税の導入に先行して、京都市内において実施すべき対策として提案されました。

導入に際しての制度設計としては、上乗せの料金収入をいくらに設定するか、またその収入の使い道をどうするのかなどの検討が必要です。化石燃料の消費抑制のためには上乗せ料金は高額なものとすることが考えられますが、一方で高額な上乗せ料金は電気やガスの使用量の多い事業所が京都市外へ流出する動きを引き起こしたり、所得の多くない家庭にとって重い負担となるため、減免措置を組み入れた具体的な制度内容についてさらに検討する必要があります。収入の使い道については、専ら地球温暖化対策に使用するのが望ましいとした上で、具体的にどの対策に充当するかの検討も必要になります。

(2)大規模事業者に対する排出量取引制度の導入

現在、京都市では、地球温暖化対策条例に基づき、大規模に温室効果ガスを排出する事業者等の「特定事業者」に温室効果ガスの排出量削減のための措置や削減目標等を記載した「特定事業者排出量削減計画書」と、その実績をまとめた「特定事業者排出量削減報告書」の作成・提出を義務付けています。

これら特定事業者の排出削減の取組を一層進める制度として、排出量取引制度の導入を提案しています。排出量の取引とは、大幅に排出量を削減することができた事業者が、その排出削減量の一部を(主に金銭と引換で)他の事業者に譲り渡すことができる制度です。

導入に際しての制度設計としては、排出削減量を買い取る側になる事業者への動機付けが鍵になります。

制度の一例としては「キャップ・アンド・トレード」方式といって、温室効果ガス排出量の上限を設定(キャップ)し、排出量が上限値を超えてしまう事業所に他の事業所から排出削減量を買い取らせよう(トレード)というものがありますが、この場合は、各事業者に強制力をもって義務付ける排出量の上限値をどう定めるかが問題になります。仮に市条例で定める削減計画書を排出量上限設定の根拠にしてしまうと、各事業所に対して“チャレンジする”目標ではなく“確実に達成できそうな”目標を計画書に組み入れる行動を惹き起こし、かえって排出量削減が進まなくなる事態も出てくることが懸念されます。

とはいえ、排出削減量に取引できる性質を持たせることは、自社だけで取り組む排出削減から、自社でできない分の排出削減を他社に代わりにしてもらうことでトータルとしての排出削減に発展させる効果があり、上手く機能すれば地球温暖化対策としてたいへん有効であるため、さらに検討を深めていきます。

(3)マイカー通勤の削減に向けた取組

京都市内の職場にマイカーで通勤する人の数は1日16万人に及びます。これらマイカー通勤は、職場単位で状況を把握し、計画的に公共交通機関(電車・バス)に切り替えてもらうことで大幅に減らせる可能性があります。そこで、マイカー通勤の多い事業所を最初の対象にして「トラベルプラン」と呼ばれる計画を策定し、通勤交通手段の切り替えによるCO2の排出削減を目指す対策を提案しています。

本提案については、「特定事業者排出量削減計画書」の中に通勤交通手段の転換による排出削減も組み入れることで、事業所の主体的な取組としてこれが実施されることが期待できます。

具体的な実施にあたっては、マイカー通勤の多い事業所がどこかを把握し、通勤交通手段を変更するために、通勤に便利に使えるバスサービスなどがあるかどうかの確認が必要になります。一般に事業者は交通事故の懸念などからマイカー通勤を推奨してはいないにもかからず、現にマイカー通勤が多い事業所は、公共交通機関での通勤が便利でないことが予想されます。その場合、事業者が「トラベルプラン」の中で、まとまった公共交通通勤者を生み出すことを明示して公共交通事業者に例えばバス路線の新設などを行ってもらうことが必要です。

プロジェクトチームでは、このあたりのこともさらに整理して提案を取りまとめていきます。

●その他の提案もあります
ただいま最終報告に向け活動中です

以上、プロジェクトチームの中間報告に掲げられている京都市で導入していくべき政策から3つの提案を選んでご紹介しました。中間報告では、重点的取組としてこの3つを含め7つの提案があったほか、フォーラムがこれまでの活動の延長・発展として実施できるプロジェクトの提案も8項目が示されています。

プロジェクトチームでは、各対策を相互に関連を持たせて組み合わせて実施することで大きな効果を上げることを念頭に置き、提案内容を練り上げています。

現在、チームは最終報告の取りまとめに向けて活動中です。プロジェクトチームの成果は次回の幹事会で報告されるほか、報告書として公表する予定です。

●京都市への提案も行います
フォーラムが主体となった事業の実施も目指します

田浦健朗プロジェクトリーダーは、京都市が環境審議会の下に設置している「地球温暖化対策評価検討委員会」のフォーラムからの委員でもあります。今後、同委員会で、本プロジェクトチームの成果を盛り込んだ地球温暖化対策の政策提案を行いその実現を働きかけます。

また、フォーラムが主体となって、提案に基づいた事業の実施も目指していきます。今後も引き続きご注目ください。